代表・安食和博による[世界のお酒ブログ]「お酒を飲むこと」

密造酒とチュウチュウ濁酒[ケニア]

2021/10/10 更新

ロシアの密造酒のニュースを聞いており、二十数年前ケニアの保健省に医療機材の専門家として駐在していた時のことを思い出した。

北部の町で五百人を超える人が一気に死亡し、その原因が同様にエタノールの入った酒によるものだった。もともとケニアでは酒を造るライセンスというものが当時無かったのではないかと記憶する。

ケニアやウガンダではサトウキビを手動の絞り機を使ったジュース売りが街のあちこちに居る。確かこのジュースを発酵させ、どぶろく(濁酒)の様なものを作り、大きなカメに入れ、みんなでそれぞれのストローでチュウチュウ吸って楽しむ習慣がある。

私も御呼ばれされ飲んでみたのだが、甘酸っぱい白い酒で、まずくはないのですがストローで飲むこともあり一杯飲めなかった。この習慣は結核の感染原因になっているので保健省では、しないように指導しているが、ローカルな飲酒の習慣として楽しまれている。そしてこの濁酒などをドラム缶蒸留器を使って蒸留することにより現地の焼酎ができる。夕方帰りがけに引っ掛けて帰るのはケニアでも日本でも同じである。

蒸留作業は面倒で多くの焼酎はできないので、工業用のエタノールを混ぜて一気に量を増やす。とりあえずエタノールであればこんなことにはならないのであろうが、メタノールの方が安いためか、なんかの手違いでメタノールを混ぜてしまい、一気に500人以上死ぬ。2年間ほどの駐在期間中に2度発生した。

こんな事件の多くは皆悪気が無いのだが、ちょっとした手違いで数百人レベルが死ぬことが生じる。